
ケブラー®とは
ケブラー®はパラ系アラミド繊維
はじめに
アラミド繊維ケブラー®の商業生産が開始されて46年。他のスーパー繊維と競い・棲み分けながら、高速走行時の安定性を確保するタイヤコード、情報化社会に対応する光ファイバー用テンションメンバー、素材の柔らかさによりコンタクトする金属材を摩耗摩滅から守るブレーキパッドや無段変速用ベルト、地震から建造物を守る耐震補強シートなど、多様なニーズに応じて新しい用途・機能を創出してきました。近年では、火山噴石の被害から人を守る技術・材料として「屋根補強用ケブラー®織物」が注目されています。今後ますます自然災害に対しては、高度な安心・安全化対策が求められ、2020年の東京オリンピック・パラリンピックに向けては、老朽化した空港・鉄道・道路などの補強・補修が必要となります。このような状況下、われわれケブラー®は、お客様と共に新しい価値の創造を通じて、社会に貢献していきたいと考えています。
ケブラー®の特徴
- 高強度・高弾性率
- 耐切創性
- 低伸度・低クリープ
- 非研磨性・耐磨耗性
- 軽量
- 耐熱性
- 非導電・非磁性
- 耐疲労性
- 低誘電率
- 耐衝撃性
- 振動減衰特性
ケブラー®の分子骨格・繊維構造
アラミド繊維ケブラー®は、パラフェニレンジアミンとテレフタル酸クロライドが重縮合したポリパラフェニレンテレフタラミドからなり、下図のような剛直かつ直線性の高い分子骨格を有しています。この高分子体を硫酸溶液中で緻密に引き揃えていくことで、全配向に近いかたちの繊維構造が形成されます。下記に繊維構造モデルを示します。ポリパラフェニレンテレフタラミドは全トランス型の平面分子鎖を成し、この平面鎖内で水素結合が連鎖的に広がることで平面ブレートを形成し、さらにそのブレートがファンデルワールス力で凝集し、円柱状の繊維材が構成されます。このような分子配列・繊維構造をとることで初めて高強度・高弾性、高耐熱性など優れた繊維特性が発現すると考えられています。